SSI定例研究会(理論部門)『日常生活と生政治:社会情報学の課題として』

12月17日(日)に下記の要領で定例研究会を開催致します。
お忙しいなかとは存じますが、ハイブリッド開催となりますので、ふるってご参加頂きたくお願い致します。
ご参加頂ける場合には、下記Googleフォームよりお申し込み下さい。

【開催要領】
テーマ:『日常生活と生政治:社会情報学の課題として』
日時:2023年 12月17日(日) 13:30~16:30
会場:立教大学 池袋キャンパス本館1104教室(オンラインのウェビナー形式を併用)
話題提供者:西川純司(神戸松蔭女子学院大学)
      山口達男(目白大学)
コメンテーター:柄本三代子(東京国際大学)
司会:是永論(立教大学)

【参加方法】
締切までに以下のエントリーフォームに必要事項を記入してください。
https://forms.gle/yxL8fiqjGENn5J6g7
締切:2023年12月12日(火)終日
参加費:無料

【趣旨説明】
 2020年以来、新型コロナウイルスによる脅威(いわゆるコロナ禍)にさらされた社会のありようは、私たちの営む生が、専門的な医療技術によるもの以上に、居住環境・食から移動に至るまでの日常的な生活行動の統制と、それをつかさどる政治に結びついていることを浮き彫りにした。その一方で、特に日本社会ではcocoaの例に代表されるようなデジタル技術による管制が不調に終わる中、「個人の判断」が強調されつつも厳しい相互監視的な状況が構成されたり、個食も可能なはずの飲食店が長期にわたり徹底した営業統制の対象とされながら、大規模スタジアムでの「集団観戦」は比較的早期に緩和されるなどの、決して合理的とは言えない事態も散見された。
 この研究会では、コロナ禍における社会状況を直接の考察対象とするよりも、それを契機として、身体(健康)の管理を個人化(自己統治化)する現代の社会背景について考察する機会としたい。こうした背景については、「生政治」として、直接に公衆衛生政策を対象とした統治性の作用の研究がM・フーコーの議論を基盤として展開して来たが、近年は人工物や技術を媒介(装置)とした作用にも対象が広げられている。また、柄本(2002)では健康の自己統治化を「ネオ公衆衛生」と呼び、それが主にマス・メディア上の食を中心とした言説で展開する状況を明らかにしていた。こうした背景について、さらに社会情報学が現代におけるデジタル技術やビッグデータによる日常生活上の作用をどのように対象としていくかを課題としていきたい。
 登壇者の西川純司氏には、近代の公衆衛生概念の中で自然光が統治性の装置となる過程を描いた近著(西川 2022)などから、生政治の概念とテクノロジーの関係についてお話しいただく。
 もう一人の登壇者である山口達男氏には、社会情報学として生政治をビッグデータやオンライン・コミュニケーションの観点から研究(山口 2019など)されている立場から、日常生活における生権力の作用についてお話しいただく。
 コメンテーターの柄本三代子氏には、現代におけるネオ公衆衛生言説の展開をもとに、話題提供者による議論の節合点についてお話しいただく予定である。

【参考文献】
柄本三代子 2002 『健康の語られ方』青土社
西川純司 2022 『窓の環境史:近代日本の公衆衛生からみる住まいと自然のポリティクス』青土社
山口達男 2019「〈衆人監視〉時代の「自己配慮」―フーコー権力論に基づくビッグデータ監視の考察」、『社会情報学』7巻2号、17‐32頁

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