櫻井 成一朗 会長

 2021年度より社会情報学会(SSI)会長を拝命しました、櫻井成一朗です。須藤修前会長は、国の重要な委員会の委員長という大役を担いながら、本学会の発展に4年間ご尽力されました。須藤修前会長の4年間のご尽力には心より感謝申し上げます。須藤修前会長のご尽力を考えると、その後を引き継ぐ重責を痛感しておりますが、木村忠正副会長、北村順生副会長のお力添えの下、微力ながら最善を尽くしたいと存じます。

 2021年度は、コロナ禍の中、社員総会シンポジウム、学会大会という本学会の最大のイベントを盛会の下に無事実施できました。両イベントの様子については学会誌において紹介する予定ですので、ご参加できなかった会員におかれましては、学会誌の発行をお待ちいただければと存じます。両イベントの開催は、研究活動委員会及び大会実行委員会の皆様のご尽力の賜物ですが、中でも吉田純前副会長のご尽力が無ければ実現できませんでした。両委員会各位そして吉田純前副会長にはこの場を借りて御礼申し上げます。私は、本務のため学会大会には残念ながらほとんど参加できませんでしたが、基調講演と表彰式には参加できました。論文賞受賞論文を拝見しましたが、論文賞に相応しい良い論文であると存じます。受賞論文に限らず、良質な論文が多数掲載されることは学会としての誇りであると存じます。これからも会員の皆様の論文投稿をよろしくお願いします。

 本学会では、2020度に若手支援委員会を設置し、若手支援のための取り組みを強化しております。日本社会情報学会(JASI)関西支部から若手支援にとご寄付を頂戴し、これを原資として若手に対する研究費支援を2020年度から実施しております。給付対象となった若手研究者の成果につきましては、研究会や学会誌等様々な形で会員の皆様に還元することを検討しております。もちろん、本年度も引き続き若手の支援を行ってまいります。

 さて、コロナ禍の現実社会に目を向けますと、我が国のデジタル化の遅れが露呈し、デジタル敗戦とも言われ、それを一気に克服すべく、2021年9月にデジタル庁が発足し、国を挙げて社会全体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進が図られています。しかしながら、令和3年度年次経済財政報告-レジリエントな日本経済へ:強さと柔軟性を持つ経済社会に向けた変革の加速-(令和3年9月24日付け)によれば、DXへの取組状況について、大企業では、計画策定中も含めると7割強が対応しているものの、中小企業は、実践中が1割未満、検討中を入れても4割弱と今後拡大の余地が残されていることが指摘されています。日本の企業の多くが中小企業であることを考慮すれば、DX推進の困難さがこの調査からも浮き彫りにされています。比較的デジタル化が進んでいると考えられていた企業でさえこのありさまですから、行政機関や私たち一般の市民にまで広くDXを行き渡らせることは困難を極めることでしょう。今こそ、まさに社会情報学の出番です。技術一辺倒ではなく、様々な視点から文理融合のアプローチをする社会情報学こそ、この困難を克服し、より良い社会をつくることができるのです。会員の皆さんと共に、社会情報学の様々な課題に取り組んで行きたいと存じます。

(2021.9.25)