第127回日本社会情報学会(JASI)定例研究会のご案内                        JASI企画委員会委員長 木村忠正 ●テーマ:「情報ネットワーク研究における質的研究」第3回「ビジネス・エスノグラフー」 ●趣旨  JASI企画委員会では、本年度、定例研究会において、「情報ネットワーク研究にお ける質的研究」をテーマにした研究会を開催しております。最終回となる今回は、 「ビジネス・エスノグラフィー」です。「ビジネス・エスノグラフィー」は、創造的 な仮説構築手法であるエスノグラフィーの特性を活かし、製品サービス開発やビジネ スデザインなどの企業活動において、イノベーションを創造する極めて有望なアプ ローチとして、認知が高まり、欧米のグローバル企業を中心に積極的に取り入れられ つつあります。それは、「生活者観察」を通じて、「人間中心のイノベーティブな製 品開発」に寄与する視点であり、ICT分野は特に発展の可能性が高いと考えられま す。しかし、産業界におけるニーズが高まる反面、理論、方法論の発展とそれを担う 人材の育成はまだ端緒についたばかりであり、社会情報学の観点からも学術面、実際 面、両面で取り組みうる課題かと存じます。そこで今回は、日本で先駆的に取り組ま れてきた企業研究者にご報告いただき、参加者の皆さまと議論を深めたいと思いま す。皆さまの積極的なお待ちしております。 ●概要 ・日 時: 平成23年2月19日(土)13時〜15時 ・会 場: 東京大学駒場キャンパス・18号館4階コラボレーションルーム3 18号館は、駒場キャンパスの北側・第一グランドの南。駒場キャンパスで最も高層の 建物です。(http://www.c.u-tokyo.ac.jp/access/img/map.pdf) ・参加費:無料 ・申込・問合せ:日本社会情報学会事務局まで、氏名・所属を明記のうえ         E-mailまたはファックスでお願いします。         E-mail:office@jasi.info FAX: 0422-40-2062 ・申込締切日:2011年2月12日(土) ・定 員:45名 *申込戴いた方へ、お断りの連絡がない場合は定員内です。 *当日の参加は定員になり次第、締め切らせていただくことをご了承ください。 ・発表者・発表概要 田村 大((株)博報堂・イノベーション・ラボ上席研究員/東京大学 i.school (イノベーションスクール)ディレクター) 「ビジネスエスノグラフィのこれまでとこれから(仮題)」 2010年、アジアで初めて東京で開催された応用エスノグラフィの国際会議・EPIC (Ethnographic Praxis inIndustry Conference)をきっかけに、ビジネスでのエス ノグラフィの活用が本格的な注目を集めている。同会議の共同議長であり、本領域の パイオニアとして、研究・実践を2000年代初頭から進めてきた発表者から、「ビジネ スエスノグラフィ」成立の経緯と、変化の兆しを報告する。 (略歴)1994年、東京大学文学部心理学科卒業。2005年同大学大学院学際情報学府博 士課程単位取得退学。社会科学、認知科学を背景に、人間中心のイノベーション・プ ロセスの研究開発に取り組む。また、2000年代前半より「ビジネス・エスノグラ フィ」の体系化に着手し、研究教育および数々の企業コンサルティングを手がける。 共著に「東大式世界を変えるイノベーションのつくりかた」(早川書房)、「センサ ネットワーク技術―ユビキタス情報環境の構築に向けて」(東京電機大学出版局)な ど。 鵜飼 孝典((株)富士通研究所 ナレッジテクノロジ研究部) 「知識経営を目指したオフィスワーカの調査事例(仮題)」 お客様に低価格で高品質のサービスや製品を提供するある開発現場で行った、調査と 改善施策、ナレッジマネジメントシステム(情報共有システム)の設計、適用の事例 を基に、調査のやりかたや、分析のフレームワークを紹介する。この事例では、カイ ゼン、無駄取りに疲弊していた組織に対して、エスノグラフィックインタビューを中 心に行ない、メンバが納得して、実施できる施策を導き出すことができた。 (略歴)2004年頃から主にオフィスワーカの働き方を中心に調査を行なっている。情 報科学、知識科学を背景に、ワーカ中心の知識経営を目指した研究開発を行なうとと もに、調査のための体系、ツール開発を行なっている。 久保隅 綾(大阪ガス行動観察研究所主任研究員) 「行動観察を起点にしたサービス現場開発 〜書店現場のフィールドワーク事例を中 心に(仮題)」 日々めまぐるしく変化するサービス現場では、現場やお客様に負担なく、かつ確実に 課題やニーズを把握し、改善策を実行、効果をもたらすことが求められる。こうした 課題に対し、行動観察やフィールドワークを基点に、短期間かつコンパクトに現場の 課題を発見し、現場とともにソリューションを共創することで効果を上げた書店での 行動観察事例を紹介する。 (略歴)精密機器メーカーでの生活者調査、ライフスタイル・ワークスタイル研究を 経て、現在大阪ガス行動観察研究所にて行動観察やフィールドワークをベースとした 調査研究に従事。現場のリアルな課題を発掘し、ヒューマンセンタードな視点から ニーズを探る。東京大学大学院学際情報学府博士課程在学中。