第124回日本社会情報学会(JASI)定例研究会のご案内                       JASI企画委員会委員長 木村忠正 ●テーマ:「情報ネットワーク研究における質的研究」第2回「パブリック・エスノグラフィー」 ●趣旨 JASI企画委員会では、本年度、定例研究会において、「情報ネットワーク研究におけ る質的研究」をテーマにした研究会を開催しております。第2回となる今回は、「パ ブリック・エスノグラフィー」です。ここでの、パブリック・エスノグラフィーと は、行政が関与する活動、サービスを、エスノグラフィーの観点から調査研究を行 い、行政、市民の多様な利害、観点、課題を把握し、よりよい活動、デザインへと結 びつけていく、実践的調査研究活動を指します。子育て、介護、災害、安全・安心、 地域経済など、行政が関与する計画、活動では、情報ネットワークの利用が不可欠と なる一方、システムの設計は、現場の実践が求めるものと乖離することも多く、ま た、行政側、市民側双方に多様な利害、観点が存在するため、実際の活動をより有効 にするには、どのような課題があるかを明確にする必要があります。そこで、質的ア プローチは、こうした分野でも模索されつつあります。今回は、パブリック・エスノ グラフィーに先駆的に取り組んでいる研究者にご報告いただき、参加者の皆さまと議 論を深めたいと思います。年末の慌ただしい時期ではありますが、皆さまの積極的な ご参加をお待ちしております。 ●概要 ・日 時: 平成22年12月23日(木)15時〜17時 ・会 場: 東京大学駒場キャンパス・18号館4階コラボレーションルーム1 18号館は、駒場キャンパスの北側・第一グランドの南。駒場キャンパ スで最も高層の建物です。 http://www.c.u-tokyo.ac.jp/access/img/map.pdf ・参加費:無料 ・申込・問合せ:日本社会情報学会事務局まで、氏名・所属を明記のうえ         E-mailまたはファックスでお願いします。         E-mail:office@jasi.info FAX: 0422-40-2062 ・申込締切日:2010年12月16日(木) ・定 員:45名 *申込戴いた方へ、お断りの連絡がない場合は定員内です。 *当日の参加は定員になり次第、締め切らせていただくことをご了承ください。 ●発表 天笠 邦一(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科後期博士課程、藤沢市政策研 究員) 「パブリック・エスノグラフィーの可能性と課題―子育て分野における実例から」 本発表では、質的な探索型の観察・聞き取り調査(エスノグラフィー)を用いて、公的 サービスのデザインを図るパブリック・エスノグラフィーの可能性と課題を、発表者 が行った子育て分野の実例を挙げて報告いたします。 パブリック・エスノグラフィーは、ヨーロッパを中心に近年発展を見せていますが、 日本では有効な手法として十分な認知を得るに至っていません。こうした現状を報告 するとともに、その背景にある日本特有の組織構造や市民文化について言及したいと 思います。 木村周平(富士常葉大学大学院環境防災研究科) 「災害エスノグラフィー:行政の災害対応を支援する質的研究」 本発表では、今から15年前の阪神・淡路大震災を契機に開発された「災害エスノグラ フィー」を取り上げ、なぜ災害に対してエスノグラフィーというアプローチがとられ るようになったか、またそれがどのように活用されているのか、実例と今後の展望を 交えて報告します。 ・発表後、フロアとの論議 ●発表者プロフィール 天笠 邦一: 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科後期博士課程、藤沢市政策 研究員を務める。研究テーマは子育て期の親のメディア利用とサポートコミュニ ティ。質的調査手法を活用した研究を行う。研究に取り組む。 木村周平 富士常葉大学大学院環境防災研究科。専門は文化人類学、科学技術社会 論。トルコや日本を対象として、地震防災についての人類学的研究を行っている。