日本社会情報学会(JASI)第106回定例研究会(情報通信月間参加行事)

九州支部長・財部忠夫/企画委員会委員・河又貴洋

 

情報ネット社会経済のマクロとミクロの深層〜情報革命は社会経済のネットワーク構造に何をもたらすのか〜

 

●趣旨

情報通信技術(ICT)の高度化に伴うアプリケーションの多様化は、ヴァーチャルな世界のフロンティア拡大をもたらし、リアルな世界との複合的な社会経済システムが構築されてきています。特にWeb 2.0として注目されるSNS(Social Networking Services)はロングテールの法則や「群集の英知」(Wisdom of Crowds)、そして「集合知」(Collective Intelligence)を生み出す潜在的なコミュニティ空間を創造しているといえるでしょう。

一方で、モバイル通信技術の社会経済システムへの浸透を受けて、モバイル通信産業がすべての産業を包含する基幹産業たるユビキタス社会のインフラストラクチャ整備が現実のものとして認識されるにつれて、個の繋がりを求める磁場がリアルとヴァーチャルな空間との間で揺れ動きながら、新たなソーシャルキャピタルとしてのコミュニティを多層的関係性の中から紡ぎだす必要性が高まってきてもいます。

さらに、ゲーム産業の転回は、ヴァーチャル・リアリティの世界をネット上に展開する(具体的にはSecond Lifeのように―近日日本語版公開予定)とともに、ヴァーチャルな世界からリアルな世界への発想の転回を図り(任天堂のDSの脳トレやWiiの身体を使った操作方法など)、リアルな世界にとって欠かせないヴァーチャルな世界の構築が進行しているかの状況にあります。

本研究会は、このような情報通信技術の急転回期にあって、われわれの生活社会ならびに産業社会はどのように変化しうるのか、マクロとミクロの視点からわれわれの生活環境を織り成すネットワークと社会経済の基盤をなす産業経済界のネットワークとの構造を読み解くことによって理解しようとする一つの試みであります。

 

●スケジュールおよび概要

日 時: 平成19519日(土)13:30-17:00

会 場:  中村学園大学(〒814-0198 福岡県福岡市城南区別府5-7-1

         http://www.nakamura-u.ac.jp/~library/acc/index.html 

主 催: 日本社会情報学会(JASI)

  催: 日本社会情報学会九州支部

協 賛: 情報通信月間推進協議会

定 員:  50名程度(なるべく事前申込をお願いします

締切日:  514日(

参加費: 無料

 

申込・問合せ:氏名・所属を明記のうえ、下記までe-mailまたはファックスでお願いします。

日本社会情報学会事務局

e-mail: jasi@jade.dti.ne.jp  FAX: 0422-40-2062

または

県立長崎シーボルト大学 国際情報学部 河又貴洋

e-mail : t.kawamata@sun.ac.jp  FAX: 095-813-5106

 


テーマ  「情報ネット社会経済のマクロとミクロの深層〜情報革命は社会経済のネットワーク構造に何をもたらすのか〜

プログラム

13:00    会場・受付開始

13:30-14:30 基調講演1 「情報技術革新と経済成長:人口制約を乗り越えられるか」

篠崎彰彦(九州大学大学院経済学研究院)

 

情報技術革新の渦中にあって日本経済は人口減少という制約条件に直面しています。情報技術の導入は果たして経済成長に貢献しうるのか、また、そのためにはどのような取り組みが必要なのか、経済(マクロ)、産業(セミマクロ)、企業(ミクロ)の観点から実態を検討します。

 

14:40-15:40 基調講演2 「ネットワーク認知の課題と可能性

− 組織内、組織間、そして市民のソーシャルキャピタル」

             安田雪(社会ネットワーク研究所所長 兼 東京大学ものづくり経営研究センター特任準教授)

 

情報技術の発展により、我々は、これまで目にすることのできなかった様々な関係情報の可視化を行えるようになった。同時に、関係の可視化は、原子エネルギーの解放にも似た恩恵とリスクの双方を我々の社会生活にもたらしかねない。社会関係はソーシャルキャピタルとして社会を豊にすると同時に、関係情報の可視化による、見えざる連鎖の具体化は、社会関係の安定と分断の双方をもたらしうる。

報告では、電子メールを利用した組織内コミュニケーションの抽出、トヨタの部品サプライヤが形成する取引ネットワークの構造、mixiにおける、「関係の見える化」による信頼の担保、元彼の元カノネットワークの推定研究、弱い紐帯の弱さなど、最近の私の研究事例を紹介し、関係の可視化とネットワーク分析の社会的インパクトを考察したい。

 

15:40-16:00 休憩

16:00-17:00 パネル・ディスカッション

テーマ「情報ネット社会経済におけるネットワーク構造転換

コーディネーター 河又貴洋(県立長崎シーボルト大学)

パネリスト    篠崎彰彦(九州大学大学院経済学研究院)

         財部忠夫(中村学園大学)

         他数名(未定)

17:00 閉会